春夏秋冬をつなぐ133メートルの風景|地域の共創アートプロジェクト
こどもたちと描く、ひと続きの風景
東京保健医療専門職大学 × KUMA’S FACTORY ウォールアートプロジェクト 第三弾
2025年6月15日、東京保健医療専門職大学との産学連携プロジェクトとして、ウォールアートイベントの第三弾を共同開催しました。
本企画は、KUMA’S FACTORYが提案する“見立てる”アートメソッド「ミタテル®︎」を活用し、こどもたちと学生たちが協働して大学内の廊下壁面に絵を描く参加型アートプロジェクトです。
テーマは「春夏秋冬」として、季節それぞれの色や空気感が重なり合い、自然の循環とつながりを感じる風景を、約133メートルにわたって描き出しました。
※日本最大級、そして教育機関校舎内では日本一長いウォールアートです!
133メートルの共創。つながる手と、ひと続きの視点
舞台となったのは、大学校内の長い廊下。その全長はおよそ133メートルにも及びます。
この空間に、東京保健医療専門職大学の作業療法専攻の学生の皆さんをはじめ、高校生や中学生、近隣地域のこどもたち、障がいのあるこどもたちが参加し、共に筆を取りました。
誰もが自然に表現に加われるよう、スポンジや段ボール片などの道具を使ったスタンプアートという技法を採用。アート経験の有無を問わず、それぞれのペースで自由に関わることができる設計となっています。
完成した風景はもちろんのこと、その過程で生まれた関わりや声かけ、そっと手を添える瞬間こそが、このプロジェクトの大切な成果であったと感じています。
アートが育む「関係性」という環境
私たちKUMA’S FACTORYは、アートは“自己表現の手段”であると同時に、“関係性を育む手段”とも捉えています。
今回、作業療法を学ぶ学生たちが、表現の補助やサポートにまわる中で見せてくれたのは、「正解のない時間」を丁寧に受け止める姿勢でした。相手の様子を見守り、必要に応じて手を差し伸べる。そうした関わりの積み重ねは、支援者としての経験を越えて、人と人とのあいだに視点や想いを交わす姿そのものに見え、胸を打たれました。
そして一方で、こどもたちもまた、自分の手で描くことを通じて「表現していいんだ」「参加していいんだ」という肯定的な感覚を育んでいたように思います。
医療・アート・スポーツが交わる場として
今回のプロジェクトは、大学関係者の皆さまの柔軟な発想とご協力によって、より大きな広がりを見せました。
大学様のお声がけにより、Bリーグ・プロバスケットボールチーム「サンロッカーズ渋谷」の皆さまも参加。こどもたちと一緒に壁に色を重ねる姿は、スポーツが持つ“力”と“親しさ”の両方を感じさせるものでした。
医療・アート・スポーツという異なる領域がひとつの空間で交わることにより、多角的な学びと新たな出会いが生まれたことも、この取り組みの大きな意義だったと感じています。
KUMA’Sとしての想いと、これからの連携に向けて
このウォールアートプロジェクトは、私たちKUMA’S FACTORYにとっても非常に意義深い取り組みとなりました。
アートの完成を目的とするのではなく、「誰かと一緒に描くこと」そのものが心に残る体験になるように。
そして、空間の設計だけでなく、関係性やかかわりを丁寧に紡ぐことが、これからの教育や福祉に必要とされていると、改めて実感する機会となりました。
最後に、このプロジェクトを共に創り上げてくださった東京保健医療専門職大学の先生方、学生の皆さま、関係者の皆さまサンロッカーズ渋谷関係者の皆さま、専属チアリーダー「サンロッカーガールズ」の皆さま、江東区東陽中学校の創作部のメンバーたち、SNSから取り組みに共感し今回初参加してくれた女子美術大学の芸術学部のメンバーたち、そして、参加してくれたこどもたち、保護者の皆さまへ心より御礼申し上げます。
今後もKUMA’S FACTORYは、アートを通じた創造的な環境づくりと、多様な立場が出会い、支え合える場づくりに貢献してまいります。